二重床とは?建築業者必見のメリットと活用法
「二重床とは?建築業者必見のメリットと活用法」という記事は、二重床の定義とその利点、さらに屋外での活用方法について解説しています。まず、二重床の基本構造や住宅・商業建物でのメリット、特に配線や配管の利便性、遮音性、断熱性の向上を説明。次に、屋外用の二重床に焦点を当て、屋外施設やデッキの設置における防水性や排水機能、メンテナンスの容易さについて詳述しています。
二重床とは
二重床の概要
「二重床」とは建築物における床の構造・工法を指す名称で、建物の躯体床(コンクリートのスラブ等)の上に支持脚を置き、支持脚の上に根太材で下地を組み、その上に床材を張る事で新たな床面を作り出す構造の総称です。
この床を浮かせて、躯体と新たな床面の間に空間を作る構造から、別名「浮き床」や「乾式浮き床」・「乾式二重床」とも呼ばれています。
これら二重床は、使用される場所によって求められる機能に違いが出るため、様々な工法の開発がされ、大きく分けると下記の様に
●屋内用の二重床
●屋外用の二重床
に大別されます。
屋外用の二重床と室内用の二重床は何が違う?どんなものがある?
屋内用・屋外用の大きな違いは、支持材や床材の材質です。
屋内用には「遮音性・衝撃吸収性・湿気対策」などが、
屋外用には「風雨や気温差・紫外線など過酷な屋外環境への耐候性・耐久性、建物防水層への配慮」が
求められるなど、施工場所の特長や問題に合わせた素材・工法が使用されています。
屋内用のシステムに使われる部材
支持材
防振目的で底部にゴム座がついている樹脂束・鋼製束 など
床材
パーティクルボード又は合板の上に、フローリング材・クッションフロア・カーペット など
屋外用のシステムに使われる部材
支持材
水による錆や腐朽しない高耐候性の樹脂束や、高耐食メッキ加工がされた鋼製束・アルミ束など
床材
デッキ材・タイル・コンクリートパネル など
屋外用の二重床とは
「屋外用の二重床」はどんな場所に使用されているのか
屋外用の二重床は、
主に商業施設や公共施設・病院などの「ベランダ・バルコニー・屋上」や、「プールサイド」などの部分に使
われています。
また、昨今は個人の戸建て住宅のベランダ・バルコニーに使用される事もあります
テラス・バルコニー・屋上などに「二重床」が必要な理由とは?
屋外用の二重床で重要となってくるのが、ベランダやバルコニーの床面に形成されている「防水層」です。この床面の「防水層」はあくまで雨水漏水による建物の劣化を防ぐための機能であり「屋上を歩行する事」を目的とした物ではありません。また、防水層は防水工法の種類によって、床を歩行できる量が異なり、「歩行レベル」として以下の通り定義されています。
- ● 非歩行 … 基本的に防水層上を人が歩く事はなく、メンテナンス・清掃時のみの歩行
- ● 軽歩行 … 建物所有者など特定の限定された人間が、防水層に負担を掛けないようゴム底の靴や スリッパを履いて歩行
- ● 歩行 …… 不特定多数の人間が歩き、台車・車いすなどの走行も含む
二重床はこの様な「防水層」を傷つける事無く、防水層の上に支持材と床材を敷設する事で、車いすなどを含めた全て の人が、通常と変わりなく歩行可能な床面を作り出す事が出来るため、昨今多くの公共施設で採用されています。
テラス・バルコニー・屋上を「二重床」にするメリットとは?
屋外の二重床を設ける事で、建物の空間設計に次のようなメリットが生まれます。
- ①:バリアフリーなアクセス
まず、バルコニーやベランダの床を二重床とする事で、屋外の床面を室内と同じ高さに調節する 事が可能になります。これにより、屋内から屋外まで段差のないバリアフリーなアクセスが可能 となり、高齢者から小さな子供・車椅子の方まで、誰もが快適に建物を利用できる「ユニバーサ ルデザイン」な空間設計が可能になります。 - ②:空間の最大化
室内から屋外までがフラットに繋がる事で、より大きな開放感のある空間が得られ、見通しのよ い空間設計が可能になります。 - ③:屋外のコミュニケーション空間の創出
屋外空間に植栽などの緑や噴水スポットなどを設ける事で、施設の新たな交流や憩いの場所として子供から大人までが楽しめる屋外空間の創出が可能になります。
建物への構造的な利点
屋外の二重床を設ける事で、構造的に次のようなメリットが生まれます。
- ①:防水層の保護
防水層は直射日光による紫外線で弾力性が低下し、ひび割れや浸水のリスクが経年後に生じます。しかし、二重床を設置する事で防水層を紫外線暴露による劣化から遅らせ、やり替え工事までの期間を伸ばす事で、結果的な修繕コストの圧縮に繋がります。 - ②:床下に配管設備を隠し、すっきりとした空間ができる
床下にできた空間は電気設備や排水設備を隠すためのスペースとして利用でき、外部空間の美観を保ちながら、空間の機能性を向上する事が可能です。
特に「展示・イベント」などのエリアでは、配線・配管を床下に隠すことで、自由に機材や展示物を配置する事ができ、柔軟なレイアウト変更を行なう事が可能になります。 - ③:床下の空気層による断熱効果
床下に空気層ができる事で階下との温度差を緩和する事ができ、冷暖房のエネルギー効率化を図る事が出来ます。
屋外の二重床工法はこのようなメリットから、庁舎、病院、文化センター、図書館、美術館、幼稚園から大学まで、幅広い公共施設や商業施設などの建物で広く採用されています。
番外編:「置床」と「二重床」の違いは?
「置床」と「二重床」はどちらも建物の床構造を指す言葉ですが、基本的な違いがあります。
まず、置床は一つの床のみで構成され、床下に空間を持ちません。
これに対して二重床は、先述の通り表層の床と躯体の床に分かれ、その間に空間ができる構造です。
置床はシンプルな構造で、建築コストが比較的低く、施工も容易です。しかし、配線や配管が床上に露出してしまう事
で美観を損なう場合もあり、地震や台風などの災害にも安全性に乏しいと言えます。
一方、二重床は特にバリアフリーや設備の配置が重要な場所、官公庁などでよく採用されますが、場合によっては建築コストや施工工程が複雑になることがあります。
適切な床構造を選択する際には、建物の用途や要件、予算などを考慮する必要があります。
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